介護派遣ってどう?メリット・デメリットを現場目線で語ります【管理者インタビュー】

派遣って時給が高いらしいよね。でも実際どうなの?」
「職場が変わるのってストレスじゃないの?」

そんなふうに迷いながら、「派遣で働くかどうか」を考えている介護職の方も多いのではないでしょうか。

今回は、介護業界歴20年、施設の管理者として派遣職員とも多く関わってきた筆者が、現場で見てきた介護派遣のリアルについて語ります。

※この記事は「てるよし@ケアマネしてない社労士見習い」のインタビュー形式でお届けします。派遣経験はない立場ですが、多くの派遣職員との関わりから得た視点としてご覧ください。


派遣経験はないけれど、12年にわたって関わってきました

── まず、てるよしさん。ご自身は派遣で働いた経験はありますか?

いえ、正直に言うと僕自身は派遣で働いたことはありませんし、仕組みについても最初はあまり詳しくありませんでした。

でも、管理者として派遣スタッフと関わった経験は何度もあります。最初は12年ほど前ですね。その方は最終的に直雇用になって、10年近く勤めてくれました。その後も2年前、そして現在も複数名と一緒に仕事をしています。


派遣から直雇用、10年働いたムードメーカー

── 印象に残っている派遣職員の方はいますか?

いますよ。最初に関わった方は、前職での失敗があったらしく「まずは派遣からリスタートしたい」と来られました。

その方、ほんとに即戦力で。介護技術もしっかりしていて、現場の意見もきちんと伝えてくれる。でもその伝え方が上手で、周囲との関係も良好。ムードメーカー的な存在でしたね。

結果的にその方は職場に馴染んで、直雇用に切り替わり、なんと10年近く勤めてくれました。家庭の事情で退職されましたが、僕が関わった介護士さんの中でも特に印象的な存在です。


派遣のメリット:高時給、柔軟な働き方、関係性のあっさり感

── 派遣で働くメリットはどんなところにあると思いますか?

まず、時給が高めなのは確かに大きな魅力ですね。条件面だけで見れば、パートや常勤よりも良いこともあります。

それから、勤務時間やシフトも比較的柔軟に対応してもらえるので、ライフスタイルに合わせやすいと感じます。人間関係も、あっさりした距離感を好む方にとってはストレスが少ないかもしれません。

ただし、これはあくまで職場による部分も大きいので、必ずしもすべての派遣先でそうだとは限らない点は留意が必要ですね。


自分だったら派遣は選ぶ?──僕の正直な答え

── もし今、先生が働き方を選ぶとしたら、派遣はアリですか?

うーん、僕自身は多分選ばないです。というのも、自分は人間関係にどっぷり浸かるタイプなんです。だから、コロコロ職場が変わる可能性がある働き方はちょっと合わないかなと。

それに、これまで振り返ってみても、現場でたくさん研修に出してもらえたり、法人視察に行かせてもらえたり──そういう経験が今のキャリアに活きていると実感しています。

派遣だったら、そのチャンスが少なかったかもしれない。そう考えると、「今の自分には合わないな」と感じます。


派遣のデメリット:教育機会・キャリア構築の点で差が出ることも

── 派遣で働く場合のデメリットは、どのあたりにありますか?

一つは教育やキャリアアップの機会が少なめになりやすいこと。
もちろん、すべての派遣先がそうだとは限りません。中には、就業前研修や資格取得支援に力を入れている派遣会社もあります。

ただ、派遣という働き方は「一定のスキルがあること」を前提としていることが多いので、「これから学びたい」人には不安が残ることもあるかもしれません。

また、契約の更新タイミングによっては「安定性」に欠ける印象を持たれる方もいます。実際には一定期間働いたあとに直雇用に切り替わるケースもありますが、そのあたりも契約内容や職場との相性次第ですね。


正社員と派遣、それぞれに向いている人の違いとは?

── どういう人には派遣をすすめたいですか?

たとえば、主たる家計を担っていない方、ライフスタイルに合わせて働き方を調整したい方には、派遣は合っていると思います。
あとは、「組織のしがらみに縛られたくない」「いろんな現場を経験してみたい」という人にとっては、自分に合った働き方を見つけるチャンスになりますよね。

実際、派遣を経て、そこからライターや講師業に活かしている人もいますから。

── 逆に、派遣を避けた方がいい人は?

「環境が変わるのが苦手」「新しい人間関係を築くのに時間がかかる」といったタイプの方は、少し慎重に考えた方が良いかもしれません。
職場が変わる可能性がある以上、順応力や割り切り力が必要になる場面もあります。


てるよし式・派遣との向き合い方──「選べる時代」を味方に

派遣は、組織とほどよい距離感で働きたい人や、柔軟性を大事にしたい人にはとても良い選択肢だと思います。

一方で、正社員や常勤には「育ててもらえる機会」や「キャリアの積み上げやすさ」といった強みもある。
結局のところ、自分が今、どんな働き方を望んでいるのか?──そこに尽きるんじゃないかと。

僕自身は派遣経験がないので、ある意味偏った見方かもしれません。でも、だからこそ、「派遣で働いてみたい」と考えている人には、自分自身の価値観と照らし合わせてしっかり考えてほしいなと思います。


おわりに:どの働き方も、自分の人生の一部になる

介護職は、正社員、パート、派遣──さまざまな働き方があります。どれが正解というよりも、「そのときの自分にとって、納得できる選択かどうか」が何より大切。

派遣から始めてキャリアを広げた人もいれば、正社員としてじっくり成長した人もいます。

この記事が、「自分はどう働きたいのか?」を考える一つのヒントになれば幸いです。