「介護って、誰にでもできる仕事でしょ？」
この一言が、ずっと心に引っかかっている。
たしかに、資格がなくても始められるし、特別な学歴もいらない。
だけど、「誰にでもできる」と言われると、どうしてもモヤモヤする。
簡単そうに見えるかもしれない。
でも、この仕事を20年続けてきた中で、私は何度も思った。
「これは、誰にでもできる仕事じゃないな」と。
誰にでもできる？その“言葉の裏”にある誤解
「誰にでもできる仕事」──この言葉の裏には、
いくつかの誤解があると私は感じています。
- 専門性がいらない
- 教えれば誰でも同じようにできる
- 体力と根気があれば十分
たしかに、最初の一歩は踏み出しやすい。
でも、本当の介護は、「ただのお世話」じゃない。
「わかる」は思い込みかもしれない
介護の現場では、毎日が“正解のない問い”の連続です。
- 「こうしたら喜んでくれるかな」
- 「この言葉で伝わったかな」
- 「自分の関わり方、これでよかったんだろうか…」
私がこれまで出会ってきた、尊敬する介護士さんたちは、
どの人も“控えめ”で、“自信なさげ”に見えることが多かった。
でも、それがいいんです。
「相手の気持ちは、基本的にはわからない」
という前提に立っているから。
「わかったつもり」にならず、
「どうだったかな？」と自分に問い続ける姿勢。
その姿に、私は何度も「いい仕事だな」と思わされてきました。
“誰にでもできない介護士”の共通点
20年間、いろんな現場で、たくさんの介護士さんと出会いました。
その中でも、「これは誰にでもできない」と思った方には、共通点があります。
- 相手の立場で真剣に考える力
- 心は熱く、でも頭は冷静に保てること
- 感情に振り回されず、落ち着いて判断できること
- 利用者・ご家族・スタッフの思いを、うまく着地させるバランス力
こうした力は、教科書で学ぶものじゃありません。
経験を重ね、人と向き合い、悩んだ末に育つ“人間力”なんだと思います。
専門性とは、資格だけではない
介護職は、資格や知識だけで“専門性”が身につくわけではありません。
- 現場で多様なケースを経験すること
- 色々な価値観に出会い、受け入れていくこと
- 感情をコントロールし、冷静さと共感のバランスを取ること
- 数字や制度にもアンテナを張り、「より良いケア」の視点を持つこと
これらが積み重なって、やっと“介護の専門職”としての軸が育っていく。
だから、介護は“成長していける仕事”でもあるんです。
てるよし式メッセージ：
“誰でもできる”じゃない。
“誰かのために、できる”人が必要な仕事。
私は思います。
介護は、「誰にでもできたらいい」仕事です。
いろんな人が関わって、支え合っていけたら理想です。
でも実際には、
“誰にでもできるわけじゃない”とも感じます。
その理由は――
「人の気持ちをわかった気になる」ことの危うさを、知っているから。
不確かさに向き合い続けること、
正解のない毎日の中で、自分の手ごたえを探し続けること。
その“葛藤に耐えられる強さ”が、介護には必要だと思うのです。
これから介護を目指すあなたへ
もし、あなたが「自信がない」と感じているなら、
それは“悪いこと”じゃありません。
むしろ、その慎重さや迷いが、
介護の現場では大きな力になることもあります。
「こうしてよかったのかな？」
「もっとできたことはあったかな？」
その問いを持ち続けるあなたこそ、
私は、介護の現場で必要とされる存在だと思います。
あなたに届けたい、てるよし式ひとことメッセージ
- これから介護を始めるあなたへ：
最初はできなくて当たり前。大切なのは“知りたい”という気持ちです。 - 現場で頑張るあなたへ：
自信がない日こそ、人の思いに寄り添える日かもしれません。 - 迷っているあなたへ：
“誰にでもできる”じゃなく、“誰かのためにできる”あなただから、価値があるんです。
