「介護の派遣って、なんだか腰掛けみたいで…」
そう思ってしまう自分に、モヤモヤしていませんか? 私も現場で長く働いてきた中で、同じように迷う人の声を何度も聞いてきました。
「本当にこのままでいいのか」 「正社員になった方が安心なんじゃないか」
でも一方で、派遣という働き方が自分に合っている気もする。 その揺れ動く気持ちは、決しておかしなことではありません。
この記事では、介護の現場経験20年・管理職として派遣職員と向き合ってきた私の視点から、「派遣から正社員になるか、それともこのまま続けるか」の判断材料をお伝えします。
あなたの“次の一歩”を考えるヒントになれば嬉しいです。
介護派遣の「ここがいい」──柔軟に働けるという武器
介護派遣には、正社員とは違う“良さ”があります。たとえば:
- 働く曜日や時間を選びやすい
- 残業や委員会などの負担が少ない
- 職場が合わなければ、すぐに変更しやすい
家庭やプライベートと両立したい人には、本当にありがたい働き方です。
ある派遣スタッフの方は、こう話していました:
「子どものお迎えがあるから、17時には退勤したい。派遣なら条件に合った職場を紹介してくれるので助かっています」
責任の重さよりも、働きやすさを優先する──それは決して“甘え”ではありません。
でも「このままでいいのかな…」という不安もある
一方で、派遣として働き続けることへの不安も聞こえてきます。
- 職場になじめないまま契約が終わる
- 業務の幅が広がらず、スキルも評価も停滞
- 長期的なキャリアが見えない
ある派遣スタッフさんは、こんなことを言っていました:
「3ヶ月ごとの契約更新。そのたびに『次も続けられるかな』って不安になります」
“責任ある仕事”を任せてもらえなかったり、職場の中で孤立してしまったり── それが「腰掛け」感を強くしてしまう理由なのかもしれません。
実は、事業所側も「派遣の限界」を感じている
ここからは、施設管理者としての視点も交えてお話しします。
派遣職員には即戦力として大いに助けられていますが、現実的には以下のような限界も感じています:
- チームケアの中心になりづらい
- 利用者との長期的な関係づくりが難しい
- 戦力になっても評価制度や昇格の枠に入れられない
「もう一歩踏み込んで任せたい」と思っても、契約上の制約で難しい──そんなもどかしさを、事業所側も感じているのです。
“派遣”のままでも、できる信頼獲得のコツ(てるよし式)
では、派遣という立場のままで、どうすれば信頼される存在になれるのでしょうか?
その鍵は、“最初の1週間”にあります。
✅ 最初の7日で「任せて安心」の印象をつくる
信頼される派遣職員は、こんな行動をしています:
- 指示を待つのではなく、自分から「○○やりましょうか?」と声をかける
- 不安なことは、その場でメモして後で必ず確認
- 名前を覚える、メンバーと1日1回は雑談する
特に最初の7日間で「この人は安心して任せられる」と思ってもらえると、関係づくりが一気に進みます。
✅ てるよし式ミッション:1週間で“チームの一員”になる
たとえば、こんな行動目標を立ててみましょう:
Day | ミッション例 |
---|---|
Day1 | 初日に「よろしくお願いします」の声かけ+控えめな自己紹介 |
Day2 | 利用者の名前を3人覚える。1人に丁寧な声かけを実践 |
Day3 | 同僚スタッフに「○○さんって、いつもこうされてますか?」と質問 |
Day4 | 休憩時間に1人と雑談。家の話や趣味など軽い話題でOK |
Day5 | 気づいたことを付箋で伝えてみる「△△が足りてませんでした」など |
Day6 | 「助かってます」と言われた行動をメモ。明日もう一度やってみる |
Day7 | ミニ振り返り:「来週もよろしくお願いします」と伝えて終了 |
この7日間で、あなたの姿勢や誠実さはきっと伝わります。
「正社員にならないの?」と聞かれたら
一定の信頼を得ると、こんな言葉をかけられることがあります:
「○○さん、正社員にならないの?」
これは、あなたがチームに必要とされている証拠です。
そんなときは、自分の希望と向き合うタイミング。
✅ あなたにとって「働きやすさ」とは?
- 勤務時間が自由なこと?
- 安定収入があること?
- 職場の人間関係がいいこと?
人によって、何を優先するかは違います。 大切なのは、「私はどう働きたいか」を自分の言葉で語れることです。
「正社員になる」以外の選択肢もある
正社員になることだけが、次の一歩ではありません。 たとえば:
- 派遣のまま、長期契約や準社員を目指す
- 条件を満たした上で、週30時間以上のパート勤務に転換する
- 別の職種(事務や相談員など)へのチャレンジ
「働き方の選択肢」は、じつは思っているより広いのです。
最後に──派遣という“選択”を後悔しないために
派遣で働くことを「腰掛け」と言う人がいます。 でもそれは、その人自身の価値観にすぎません。
大切なのは、
- 今の働き方に納得できているか
- 将来の見通しを持っているか
「派遣=一時しのぎ」ではありません。
私の周りにも、派遣から始めて
- ライフスタイルに合った働き方を続けている人
- チャンスをつかんで正社員になった人
両方います。
どちらも“正解”。 大事なのは、あなたが納得できる道を選ぶことです。
そのために、この記事が少しでもお役に立てれば嬉しいです。
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