介護職の履歴書・職務経歴書ガイド|てるよし式・採用担当が教える“通る書類”の書き方

はじめに|特別な“盛り”より、基本の完成度

介護の仕事に応募するとき、「何を書けばいいのか分からない」と感じたことはありませんか?

「志望動機ってどう書けばいいの?」「短期離職があるけど書いていいの?」「手書きじゃないとダメ?」
——そんな疑問に、現場経験20年&採用担当の視点からお答えします。

大事なのは、「写真」「志望動機」「経歴の具体性」。
この3つを丁寧に整えるだけで、書類選考の通過率はぐっと上がります。

特別な資格やすごい実績より、「今の自分にできることを、正直に・具体的に伝えること」。
それが、てるよし式・書類作成の基本です。


最初の30秒で見られている「5つのポイント」

採用担当者が履歴書を開いて、まず目を通すのは以下の5点です。

1. 写真は貼ってある?(…これ、実は見落とせません)

「え、写真貼ってない?」
そんなケース、実際にあります。貼り忘れ、サイズ違い、スナップ写真の切り抜き……。
書類の完成度が低いと、それだけで「この人、大丈夫かな?」という不安に繋がります。

履歴書は、いわば自分の名刺。
写真の貼付も“自己紹介の一部”として整えることが大切です。サイズ・表情・清潔感、しっかり確認しましょう。


2. 介護経験の有無・期間・転職歴の“つながり”

福祉経験があるか、どれくらいの期間なのか。
複数の職場がある場合でも、キャリアの流れに納得感があれば問題ありません。

逆に、転職回数が多く記載にブレがあると、「実際は何年働いていたのか」が曖昧になり、採用側の判断材料として不十分になります。
履歴は正確に・一貫性をもって整理するのがポイントです。


3. 志望動機が“自分の言葉”になっているか

志望動機は、「この人と話してみたい」と思わせる一番の要素です。

よくあるのは、定型文で埋めているだけの志望動機や、空欄のまま提出されるケース。
それでは「この職場で働きたい理由」が伝わらず、他の応募者との差がつきません。

逆に、自分の体験や思いを、自分の言葉で書いてくれていれば、それだけで面接に進みたくなります。
多少文章が拙くても大丈夫。熱意のある文章は、しっかり届きます。


4. 全体の整合性(誤字・日付・表記の統一)

「誤字脱字」「和暦と西暦の混在」「職歴の年月が空欄」など、細かな部分もよく見られています。

ここが乱れていると、「この人に記録業務を任せても大丈夫かな…」という心配につながることも。
細部まで整っている書類は、それだけで信頼感が伝わります。


5. 希望勤務条件の具体性

「週3〜4日希望」「夜勤は応相談」などの曖昧な表現はミスマッチのもと。
採用側は具体的な配置・シフト計画を立てているため、「何曜日に入れるのか」「夜勤はどこまで可能か」はできるだけ詳しく書いてほしいところです。

書類の段階から、“お互いのすれ違いを減らす”ための情報共有が大切です。


志望動機|テンプレ卒業で“伝わる文章”に

志望動機は「型」より「熱量」。でも、何から書けばいいかわからない方も多いですよね。
そこで、「てるよし式・20秒テンプレ」を3つご紹介します。

●未経験者向け

未経験ですが、祖母の介護をきっかけに高齢者支援に関心を持ちました。まずは基本業務を丁寧に、チームでの連携を大切にしながら仕事を覚えていきたいと考えています。

●経験者向け

特養での3年の経験を活かし、BPSD対応や記録の正確さ、多職種連携の力をさらに高めたいと思い応募しました。ご利用者とご家族、職員の橋渡し役になれるよう取り組んでいきたいです。

●ブランク明け向け

家族の介護により2023年4月〜2024年9月は離職していましたが、その経験から「受け手側の視点」を学びました。体力面も少しずつ慣らしながら、今後は日勤を中心に、必要に応じて夜勤も対応できるよう準備しています。


職務経歴書|キーワード+具体例で伝わる

職務経歴書では、経験をキーワードで並べるだけでなく、そこに自分の関わり方や学びを加えると効果的です。

例)「感染対策では、ご利用者への説明を丁寧に行い、手洗いやマスクの習慣づけを支援しました。チームで同じ声かけを続けることで不安感を減らせたと思います。」

【よく使われるキーワード例】
BPSD対応/口腔ケア/記録(ICF・SOAP)/感染対策/看取り支援/多職種連携/OJT/ポジショニング など


実績の数字は“補助材料”|伝わるのは“対話力”

「記録時間を◯分短縮」「転倒件数を削減」など、数字で成果を表すのも効果的ですが、あくまで補助的な情報です。

それよりも大切なのは、面接での対話の中で、その経験について的確に答えられるかどうか。
書類は、その“会話の土台”と考えましょう。


シフト・夜勤の希望は“正直×具体的”が一番

「週3〜4日希望」のような表現では、実際の勤務希望がつかみにくく、調整が難航することがあります。

例)夜勤:月4回まで可/早出・日勤:可/遅出:不可/土曜:可/日曜:不可(家庭事情による)

「どうしても無理なこと」は最初に伝える。それが長く働ける第一歩です。


ブランクや短期離職の説明|「事実→学び→これから」でOK

履歴書で一番悩む部分かもしれません。
でも大丈夫。正直に伝えることが第一歩です。

例)2023年4月〜2024年9月は家族の介護に専念。介護者としての視点を得たことを、今後の現場で活かしていきたいと考えています。体力も徐々に戻ってきたため、日勤を中心に勤務したいと考えています。

ごまかしたり、曖昧にせず、「自分の言葉で語れるようにしておく」ことが大切です。


資格・研修の書き方|“順番”を整える

書類に資格を並べるときは、順番と選び方もポイントです。

【おすすめの並べ方】

  1. 国家資格(介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士)
  2. 介護支援専門員
  3. 認知症介護実践者研修/リーダー研修など加算に関わるもの
  4. 初任者研修/実務者研修
  5. 関連性のある民間資格(厳選して)

多ければ良いわけではなく、“必要なものを丁寧に整える”姿勢が評価されます。


書類ミスを防ぐ「てるよし式・最終チェック10」

  1. 写真は忘れず貼ろう(サイズ・清潔感もチェック)
  2. 写真は最後に貼る(書き直しに備えて)
  3. 誤字脱字をゼロに
  4. 西暦・和暦は統一する
  5. 志望動機は「自分の言葉」で書く
  6. 求人先の情報に最低1行は触れる
  7. 字が汚くても丁寧に
  8. パソコン入力でもOK(整っていれば)
  9. 資格は厳選し、順番に気をつける
  10. 誠実さをにじませること

おわりに|履歴書は“自分の働き方”の入り口

履歴書や職務経歴書は、ただの「応募書類」ではありません。
自分の働き方や、これからの選択を映し出す“鏡”のような存在です。

だからこそ、大切なのは見た目を整えることではなく、
「自分と、相手に、ていねいに向き合うこと」。

特別な経歴がなくても、完璧じゃなくても大丈夫。
自分の言葉で、今できることをまっすぐに伝えてくださいね。

▶ 参考:厚生労働省「履歴書の書き方」


▼ 書類が整ったら、次は「転職のタイミング」「面接」「キャリアアップ」へ。
 あなたの次の一歩を後押しする記事はこちらです。

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