面接の終盤に、こう聞かれたことはありませんか?
「では最後に、何かご質問はありますか?」
この“逆質問”のタイミング、実は多くの応募者が戸惑う場面です。
「特にありません」と静かにうなずく人もいれば、焦って思いついたことをそのまま口にして、思わぬ失点につながることも。
今日は、採用担当として数百人の面接に関わってきた私が、実際の現場で感じてきた「逆質問のリアル」と「好印象につながるコツ」をお伝えします。
「特にありません」が残す、少しのモヤモヤ
応募者の立場からすれば、聞きたいことはたいてい求人票や事前の説明でクリアになっていることが多いかもしれません。ましてや「質問しろ」と言われるのは想定外。頭が真っ白になる方も多いと思います。
でも、採用側から見るとこの時間は、「どんなことに関心があるのか」「この職場にどれだけ気持ちが向いているのか」を知るチャンスでもあります。
だからこそ、逆質問が「ありません」と終わると、悪い印象ではなくても、「もう一歩深い会話ができたかもな」という、少しのモヤモヤが残ってしまうのです。
忘れられない“痺れた”逆質問
逆質問で私が今でも鮮明に覚えているのが、ある新卒の学生さんのひと言でした。
「施設長ご自身は、これからもこの職場で働き続けたいと思いますか?」
にこやかに面接を受けていたその方が、最後にこの質問を投げかけたとき、思わず「うわ…それ聞く?」と、内心ちょっと驚きました。
でも、すぐに「なるほどな」と思いました。この人は、自分がここで働く価値があるかどうか、相手の目線を通して確認しようとしていたのです。
私は「はい」と答えました。そしてその方は、何度も悩みながらも結果的に長く勤務してくれました。──私の方が先に転職することになったんですけどね(笑)
でもあのとき、「あの質問にちゃんと答えられるかどうか」が、自分自身の覚悟を試されたような感覚を今でも覚えています。
地雷になってしまう逆質問もある
もちろん、どんな逆質問でも良いわけではありません。
採用側の立場として、「これはちょっと…」と感じる質問もあります。
たとえば──
- 仕事の内容にはあまり触れず、条件面だけを細かく聞く
- 「人間関係、悪い人いませんか?」など抽象的すぎる質問
- 「何時に帰れますか?残業は絶対イヤなんです」など強い主張が前面に出る質問
条件面を確認することは大切です。でも、そこだけに偏ってしまうと、「この人は何のために働きに来たんだろう?」という印象にもつながりかねません。
バランスの取れた質問ができる人は、好印象
逆に、こんな質問ができる人は、「おっ」と思わせられます。
- 「新人がつまずきやすいのはどんなところですか?」
- 「ここで働くことで、自分はどんな経験を積めそうですか?」
- 「これから介護現場で求められる力って、どんなものだと思いますか?」
これらの質問は、仕事への興味や、自分の将来への意識が垣間見えるものです。
加えて、もし条件面についても確認したいことがあれば──
「生活のこともあるので、確認させてください。残業や休日のことは〇〇のように伺っていますが、実際はどんな雰囲気でしょうか?」
といったように、「まず仕事の話→その上で条件確認」という順序で質問するだけで、受ける印象が大きく変わります。
よくある質問に、採用側はこう答えている
応募者の方からよくいただく逆質問と、それに対して採用側がどのように答えているかも、知っておくと安心です。
Q. 残業は多いですか?
「時期にもよりますが、月平均〇時間程度です。できるだけ偏らないようにシフト調整を行っています」
Q. 有休は取りやすいですか?
「希望休は月2日まで出せますし、有休も事前相談いただければ対応可能です。特にお子さんの行事などはできるだけ配慮しています」
Q. 人間関係はどうですか?
「人間関係は“いい”だけでは説明できませんが、何かあれば職員同士でしっかり話す文化はあります。定期的な面談なども設けています」
「聞いてはいけないのでは?」と思いがちな内容も、聞き方を工夫すれば問題ありません。むしろ、その質問を通して「どんな準備をしてきたか」「どれだけ誠実か」が見えてくるのです。
採用担当の本音:こんな人を採りたい
最後に、逆質問のやりとりを通して、私たちが「ぜひ一緒に働きたい」と感じるのはこんな方です。
自分なりの仕事観・介護観を持ち、それを職場と重ねて確かめようとする人。
そして、自分の考えだけを押しつけず、チームで働く視点を持てる人。
逆質問は、「うまく聞けるかどうか」だけではありません。
準備してきたこと、思い描いている働き方、相手を知ろうとする姿勢──そうした“自分らしさ”が垣間見える時間なのです。
最後にひと言:質問の答えより、姿勢が見られている
「逆質問の答え方を間違えたらどうしよう」と不安になるかもしれません。
でも、面接官が見ているのは“質問の内容そのもの”より、どんな姿勢でその質問をしているかだったりします。
だから、正解の質問を探すよりも──
あなたらしい言葉で、この職場と向き合うための質問を、ひとつ用意してみてください。
きっと、その一言があなたの印象をぐっと良くするはずです。
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