介護職の面接で「自己PR」をどう話すか──印象に残る伝え方のコツ

「自己PRって、何を話せばいいのか分からない…」という方へ。
大丈夫、あなたの言葉で伝えれば、それで十分です。

介護職の面接では、「自己PRをお願いします」と言われる場面が必ずといっていいほどあります。でも、いざその場になると「何をどう伝えればいいのか分からない」「志望動機とどう違うの?」と戸惑う人も多いのではないでしょうか。

この記事では、現場経験20年・採用担当としても多数の面接を見てきた私の視点から、「印象に残る自己PR」の伝え方を解説します。
型に当てはめるのではなく、“あなたらしさ”が伝わること。そこが何より大切です。


自己PRは“自分らしさ”を伝える場

まず、自己PRと志望動機はどう違うのでしょうか?

志望動機は「なぜこの事業所で働きたいか」を伝えるもの。
一方、自己PRは「あなたがどんな人なのか」「仕事にどんな姿勢で向き合っているのか」を伝えるものです。

採用側としては、限られた面接時間の中で「この人はどんな方なのか?」「どんな強みを持っているのか?」を深掘りしたい。その入り口として自己PRを聞いています。求職者自身が考えた“自分の強み”をどう語るか。そこから、その人の考え方や価値観、これまでの経験、そして“素顔”が見えてくるのです。

正直なところ、介護職の応募者の中には、履歴書が空欄のまま提出されることも珍しくありません。職務経歴書まで準備してくる人はごく少数。だからこそ、自己PRで自分の経験や思いを伝えることができれば、それだけで他の応募者と差がつきます。


印象に残る自己PRの共通点は「チーム」と「軸」

印象に残る自己PRには、ある共通点があります。

それは「自分の強みを語るときに、チームへの感謝があること」。

介護はチームで行う仕事です。だからこそ、「私はこんなことを頑張ってきました」という話だけでなく、「仲間とどう関わってきたか」「どんなチームが理想か」といった視点を持っている人はとても魅力的に映ります。

たとえば、ある応募者の方はこんな話をしてくれました。

「私はリーダー職を任せてもらったとき、自分だけで抱え込まず、毎日5分でもスタッフと話す時間を作るようにしてきました。チームがうまく回ることで、利用者さんにも安定した支援ができると感じたからです。」

こうした話には、その人の“介護観”と“仕事への姿勢”が自然ににじみ出ています。ただ「私はリーダーです」と言うだけでは伝わらない「仕事の向き合い方」が、チームとの関係性を通じて伝わってくるのです。


「これはもったいない…」残念なPRの特徴

逆に、ちょっともったいないと感じる自己PRもあります。

たとえば──

  • 「私は明るい性格です。人と話すのが好きです」とだけ話す、抽象的なアピール
  • 「前職では上司と合わず、辞めることになりました」といった他責的な内容
  • 「特にこれといった経験はありません」と自信なさげに終わってしまう

どれも“人柄が見えない”ことが共通しています。
採用側が知りたいのは、完璧な人かどうかではありません。むしろ、「どんな経験から、どんな学びを得て、どんなふうに変わってきたか」が知りたいのです。

たとえ失敗した経験でも、「その時どう考えたか」「次にどう活かしたか」を語れれば、それは立派なPRになります。

💬 採用者の本音コラム

自己PRって、求職者の“素顔”を見るきっかけだと思ってます。
上手な言い方よりも、「相手は変えられないけれど、自分は変われる」という視点で話せる人は、面接をしていても一目置かれますね。


介護職に強い自己PRのテーマ3選

では、介護職としての自己PRでは、どんなテーマが有効なのでしょうか?

私が採用担当として「これはいいな」と思ったテーマを3つ紹介します。

① あなたの“介護観”

「利用者さんと接するときに大切にしていることは何ですか?」という問いに、あなたならどう答えますか?
自分の介護観を一言で表す必要はありません。日々のケアの中で、「どんな気持ちで仕事に向き合っているか」を伝えましょう。

② 中長期的な視点を持っていること

介護は一朝一夕で成果が見える仕事ではありません。
だからこそ、「時間をかけて関係を築くこと」「信頼を積み重ねること」を大切にしている人には、自然と期待が集まります。

③ キャリアビジョンがあること

「今後はどんな働き方をしていきたいか」「どんな役割を担いたいか」。
はっきりした夢でなくても、「少し先を見ている姿勢」は伝わるものです。
成長していこうとする意欲は、それだけで大きな強みになります。


てるよしの自己PRエピソード

私がこの業界に入ったのは、家族を養うためでした。
当時は現場職からのスタート。子どもも小さく、生活も不安定で、何とか道を切り開きたいという思いでいっぱいでした。

そのときに決めたのが「管理者になる」という目標でした。
管理者という視点で仕事を捉えるようになってから、業務の全体像が見えてきたり、人との関わり方が変わったりと、経験の幅が一気に広がりました。

正直、最初からうまくいったわけではありません。
でも、小さな目標をひとつずつクリアしながら、経験を積み重ねてきたことが、今の自分のPRポイントになっています。

「この人は何を目指しているのか?」
採用側は、そこを見ています。
自分のためでも、家族のためでもいい。未来に向けて前を向く姿勢こそが、最高の自己PRです。


【まとめ】“あなたのこれから”が一番のPRになる

自己PRは、決して完璧な経歴を並べる場ではありません。

むしろ、「自分の言葉で、今の気持ちや考えを伝える」こと。
その中にこそ、あなたらしさがにじみ出ます。

もし今、「特にアピールできることがない」と感じていたとしても、大丈夫。
大切なのは、これからどうなりたいか。その覚悟と意欲を、まっすぐ伝えることです。

ありのままを正直に。不足があれば素直に認めて、次に進もうとする姿勢が、いちばん人の心に届きます。

あなたの「これから」を、応援しています。


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