無期転換ルール、うちの施設で「気づいたら5年過ぎてた」が起きた話

無期転換ルールの基本

調べてみると、無期転換ルールは労働契約法18条に定められた制度で、平成25年(2013年)の法改正で導入されたようです。

同じ使用者との有期労働契約が通算5年を超えた場合、労働者側から申込みをすることで、期間の定めのない「無期労働契約」に転換できる、という仕組みとのこと。ポイントは、無期転換は事業主が決めることではなく、労働者側の権利(申込権)だということです。申込みがなければ、無期転換は発生しません。

調べていて分かった、一番の落とし穴

ここが今回一番「知らなかった」と思ったポイントです。

無期転換しても、労働条件(給料など)は基本的に変わらないようです。

無期転換後の労働条件は、原則として直前の有期契約時と同じで、就業規則などで無期転換後の労働条件を別に定めている場合を除いて、給料が上がったり待遇が良くなったりするわけではないとのこと。無期転換の効果は、あくまで「契約期間の定めがなくなる=雇止めの心配がなくなる」という点にあるようです。

これ、意外と誤解されているポイントじゃないかと思います。「無期転換=正社員的な待遇アップ」とイメージしていた自分にとっては、ちょっと意外でした。

希望する人、希望しない人

うちの施設でも、無期転換を希望する方・しない方、両方いました。

希望する方は、今の職場で長く安定して働きたいという方が多い印象です。一方で、希望しない方の中には、毎年の契約更新のタイミングで時給交渉をしたいという方も一部いらっしゃいました。無期転換すると、この「更新のタイミング」自体がなくなるので、交渉の節目を残しておきたい、という考え方のようです。

会社側としては正直、人手不足の中で毎年交渉されるのは辛い部分もあります。ただ、上で書いた通り無期転換そのものは待遇アップを意味しないので、「自分を高く売りたい」という目的であれば、無期転換より契約更新のたびの交渉の方が理にかなっているという考え方も、筋としては成り立つように思いました(ここは私個人の見解です)。

無期転換しないまま働き続けると、どうなるのか

無期転換を申し込まずに有期契約のまま働き続けた場合のデメリットも気になったので調べてみました。

無期転換ルールとは別に、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」という告示があるようです。これによると、

  • 有期労働契約を3回以上更新、または雇入れの日から通算1年を超えて継続勤務している労働者について、次の契約を更新しないこととする場合、使用者は契約期間満了日の30日前までに雇止めの予告をしなければならない
  • 労働者から請求があれば、雇止めの理由を記載した証明書を交付しなければならない
  • 1回以上更新かつ通算1年を超えて継続勤務している労働者については、契約を更新する際、契約期間をできる限り長くするよう努めなければならない(努力義務)

とのことです。つまり、無期転換しないまま有期契約を続けていても、一定の手続き上の保護は存在するようです。ただし、これらはあくまで「予告」「理由の開示」「努力義務」であって、無期転換のように契約そのものが継続される保証ではありません。この違いは、労働者側も理解しておいた方が良さそうだと感じました。

2024年4月から、事業主の明示義務が増えている

これも調べていて「そうだったのか」と思った点です。2024年4月の法改正で、事業主が労働者へ書面で明示すべき事項が増えているとのこと。ただし、項目によって明示のタイミングが違うようなので、ここは正確に整理しておきます。

  • 契約更新の上限の有無と内容:有期契約の締結・更新のたびに毎回明示が必要
  • 無期転換の申込機会があること:無期転換申込権が発生する更新のタイミング(通算5年を超えた更新)以降、その後の更新のたびに毎回明示が必要
  • 無期転換後の労働条件:上記と同じタイミングで明示が必要

うちのように、契約更新のタイミングで無期転換の確認が漏れてしまうケースを防ぐ意味でも、この明示義務は理にかなっている仕組みだと思いました。裏を返せば、通算5年を超えているかどうかを事業主側が正確に把握していないと、この明示義務自体を果たせないということでもあります。有期契約のスタッフを多く抱える施設ほど、契約日の一覧管理が欠かせないと痛感しました。


調べていて浮かんだ疑問

Q. 無期転換の「通算5年」は、途中で契約が途切れたらリセットされる?

契約と契約の間に一定期間(原則6か月以上)の空白があると、それ以前の契約期間はカウントされない「クーリング」という仕組みがあるようです。ただし空白期間の長さによって扱いが変わるようなので、個別のケースは労基署や社労士に確認した方が確実そうです。

Q. 無期転換を申し込んだのに会社が拒否できる?

条件を満たした申込みであれば、会社側に断る権利はなく、申込み時点で自動的に無期労働契約が成立するとされているようです(承諾は不要)。


今回書いた内容は、あくまで調べてみて自分なりに理解した範囲のメモです。クーリング期間の計算や、個別の契約状況における無期転換の該当可否など、実際の判断は契約書の内容によって変わってきます。最終的な判断は、必ず顧問の社会保険労務士または管轄の労働基準監督署に確認してから進めてください。


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