有給が取りづらい職場の「あるある」と、管理者としてできる工夫

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※記載の内容は、社労士受験生である私が一次情報を調べてまとめた内容です。労務・法律の専門家による助言ではありません。実際の判断・対応は、社労士や弁護士等の専門家にご確認ください。


今の職場と、前の職場。有給の取りやすさは、正直、雲泥の差です。

今の職場は、驚くほど取りやすい。前の職場は、取りにくかった。同じ介護業界、同じ管理者(私)なのに、なぜここまで違うのか。今日はその話を、あまり格好つけずに書こうと思います。


前の職場で、私は「取らせない空気」を作っていた側でした

正直に告白します。前の職場で管理者をしていたとき、私は職員に「有給を取るな」とは一度も言いませんでした。でも、取りにくい空気は間違いなく作っていたと思います。

理由ははっきりしています。私は自分の事業所のサービスレベルに、強いこだわりを持っていました。そのために、出勤スタッフの人数を一定確保する必要があった。誰かが休めば、その分の穴を誰かが埋めないといけない。人員に余裕を持つ余裕なんて、正直なかったんです。

これは事業主の立場からも理解できる話です。介護事業の費用の大部分は人件費が占めています。余剰人員を抱える体力がある事業所は、そう多くありません。私自身、管理者としてその方針をどうこうできる立場にはなかった。

でも、それを言い訳にしても仕方ありません。実際に「言い出しにくい空気」を醸し出していたのは、間違いなく私自身です。しかも私自身、有給どころか公休すら満足に取れずに働いていました。今振り返ると、その姿は職員からしたら迷惑以外の何ものでもなかったと思いますw。管理者が誰よりも休まず働いている姿を見せれば、部下が「休みたい」と言い出しにくくなるのは、当然のことです。

今の職場は、驚くほど違う

今の職場は、時代が変わったのか、運営方針が違うのか、有給を取る人はすごく取ります。逆に、あまり取らない人もいます。ただ、これは「休みたくない」というより、「言い出しにくい」という可能性の方が高いだろうと思っています。お金がもらえる休みを、心から欲しくない人なんていないはずです。

ここで大事なのは、「取らない人が悪い」わけでは決してない、ということです。むしろ、その人にとってまだ「言い出しやすい空気」になりきっていないのかもしれない、と管理者としては考えるようにしています。責任感の強さ、現場の状況への理解、周囲との関係性、いろんな要素が絡んでいて、日頃の仕事への取り組み方やチームからの信頼感によって、「休みたい」と言い出せるかどうかの感覚も変わってくるんだと思います。

管理者としては、正直、真面目に頑張ってくれている人ほど「ちゃんと休んでほしい」と思います。逆にそうでない人には、そこまで強くは思わない自分もいます。人間なので、そこは正直なところですw

管理者としてやってみた工夫

取りにくかった前の職場で、それでも試していたことがあります。

本人と話しながら、計画的にシフトを組む

有給を取りたい時期を事前に聞いて、そのスタッフが「いないもの」として前提でシフトを組む。これをやると、意外と休みは作りやすくなります。当日や直前になって「休みたい」と言われるより、事前に分かっている方が、現場としても対応しやすいんです。

年度末ギリギリではなく、早め早めに消化してもらう

有給の消化を年度末に集中させると、どうしても現場が回らなくなります。早い時期から少しずつ計画的に取ってもらう方が、結果的にみんなが取りやすくなります。

ただし、これは無理強いしていい話ではありません。職員側にも都合があるので、会社が一方的に「絶対この時期に取れ」と押し付けるのは、原則としてNGのようです。※労使協定を結んで「計画的付与制度」を導入している場合は、5日を超える分について会社が計画的に取得日を指定できる例外もあるようです。ここのさじ加減が、制度と現場の一番難しいところでした。

ちなみに、年10日以上有給が付与される職員(管理監督者やパート・アルバイトも、条件を満たせば対象に含まれるようです)に対しては、会社側が年5日は時季を指定して取得させる義務があるようです。2019年から法律で決まっているルールらしく、「本人が言い出さないから取らせない」は、実は会社側のリスクにもなるようです。なお、年10日に満たない職員であっても、本人が請求した有給そのものを拒否することとはまた別の話のようなので、この点も併せて注意が必要そうです。

それでも、制度と現場にはギャップがある

正直に言うと、ここは今も答えが出ていません。

国の方針や法律は、全国どの事業所にも一律に適用されます。でも、それを実行する体力は、事業所によって全然違います。現場の管理者は、事業主の協力があればまだ救われますが、方針が変わらないまま法律だけが先に進んでいくと、その板挟みで疲弊していきます。

職員の希望、利用者へのサービスの質、事業主の経営方針、そして国の法律。これを全部満たそうとすると、結局「誰かの自己犠牲」で帳尻を合わせる、というのが、正直よくある現場の姿だと思います。かつての私自身が、その「誰か」でした。

それでも、希望はあると思う理由

ここまで、かなり愚痴っぽく書いてしまいました。でも最後に、前向きな話をして終わりたいと思います。

理由は単純です。私自身が、この変化を実際に経験しているからです。同じ業界、同じ私が管理者をやっていても、職場が変われば、有給の取りやすさはここまで変わる。これは「時代が変われば、現場も変われる」という証拠だと思っています。

もう一つ。有給が取りにくい職場にいるなら、それは決して「あなたが強く主張できないのが悪い」とか「お人好しだから損をしている」という話ではありません。人員体制や事業所の方針という、構造の問題であることがほとんどです。

とはいえ、「悪くない」で終わらせても、実際に取れるようにはなりません。だから2つだけ、伝えたいことがあります。

ひとつは、有給は権利であって、お願いごとじゃないということです。前述の通り、会社側には年5日分を取得させる義務すらあるようです。「休みたい」と言うことに、後ろめたさを感じる必要は本来ないはずです。いきなり大きく主張する必要はなく、「来月このあたりで1日休みたいんですけど、シフト調整できますか」くらいの、事前相談から始めれば十分だと思います。

もうひとつは、もしあなたが管理者やリーダーの立場にいるなら、まず自分が有給を取ることです。かつての私がそうだったように、上に立つ人間が休まず働いていると、それだけで部下は「休みたい」と言いにくくなります。逆に、管理者が率先して休んでいる姿を見せれば、それが「ここでは休んでいいんだ」という一番わかりやすいメッセージになります。誰かに言い出す勇気を求める前に、まず自分がその空気を作れる立場にいないか、確認してみてほしいです。

そして管理者側の立場から言うと、今の職場でも「有給は取れているけど、サービスレベルとの妥協は正直ある」というのが、今の私の現在地です。完璧な答えはまだ出せていません。でも、かつての自分と比べれば、確実に一歩進んでいる実感があります。焦らず、この課題とも向き合い続けていくつもりです。


執筆:てるよし@ケアマネしてない社労士受験中

介護歴20年/複数事業所を統括する管理職&副業ブロガー。

「働き方は変えられる」をテーマに、介護の現場とこれからを語ります。


調べていて、こんな疑問も浮かびました

有給を取りたいと言い出しにくいのですが、どうすればいいですか?

いきなり「明日休みます」ではなく、早めに希望の時期を伝えて、シフトの調整に余裕を持たせてもらうのが良さそうです。管理者側からしても、事前に分かっている方が対応しやすいことが多いと感じています。

会社が有給を取らせてくれません。これは違法ですか?

調べてみたところ、これは実は2つの別々のルールが関係しているようです。ひとつは、労働者本人が請求した日に有給を与える義務(労働基準法39条4項・5項)。もうひとつは、年10日以上有給が付与される労働者に対して、会社が主体的に年5日は取得させなければならない義務(同条7項)です。前者は、事業の正常な運営を妨げるといった例外的な場合を除き、会社が一方的に拒否すること自体が違法になり得るようです。後者は、年5日という最低ラインに達していない場合に問題になる、という別の話のようです。つまり「年5日に届いているから大丈夫」ではなく、そもそも本人が請求した有給を拒否すること自体が、別の角度から問題になり得る、ということのようです。このあたりはかなり専門的な話で、個別の状況によって判断が変わってくると思うので、心配な場合は労働基準監督署や社労士等の専門家に直接相談することをおすすめします。

管理者として、人員不足の中でどうやって有給取得を進めればいいですか?

正直、私自身も答えを出し切れていない難しいテーマです。ただ、「そのスタッフがいない前提でシフトを組む」「年度末に集中させず早めに消化してもらう」という2点は、一定の効果を感じています。完璧を目指すより、少しずつ改善していく姿勢が現実的だと思います。


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